珪藻土には発がん性がある? – 30代の家づくりand逗子暮らし

珪藻土には発がん性がある?

 

妻が珪藻土に興味持っていたため、珪藻土のことをいろいろ調べたところ、珪藻土には発がん性があるという記載を見つけました。

自然素材を取り入れたはずが、がんになっては本末転倒です。

そのため、本当に発がん性があるのかきちんと調べてみました。

 

はじめに

インターネットで「珪藻土 発がん性」で検索すると、かなりの数のページがヒットします。

主な内容といして、珪藻土は発がん性があるので使用をやめるべきと記載がありました。

発がん性の根拠として、いくつかのページに「IARCにおいて珪藻土の主成分であるシリカに発がん性があると認定されているため」と記載があったので、この部分が正しいのか確認しました。

 

IARCとは?

世界保健機関(WHO)の一組織で、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer)になります。

IARCは様々な物質の発がん性をグループ1(発がん性あり)~グループ4(発がん性なし)に分類しています。

 

IARCにおける珪藻土の調査結果

IARCのホームページを確認したところ珪藻土の発がん性に関する調査結果は、下記にまとまっていました。

http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol68/mono68-6.pdf

 

200ページに及ぶ英文のため、関係ありそうな箇所だけ抜粋します。

英語はあまり得意ではないので、参考にされる方はご自身で確認ください。

 

珪藻土は非結晶性シリカに分類される

42ページ

Table 1. Chemical Abstracts Registry numbers for various forms of silica

Crystalline silica

Cristobalite

Quartz

Tripoli

Tridymite

Amorphous silica

Pyrogenic (fumed) amorphous silica

Precipitated silica, including silica gel

Diatomaceous earth (uncalcioed)

Vitreous silica, quartz glass, fused silica

FIux-calcined diatomaceous earth

表1.各種シリカのCAS登録番号

結晶性シリカ

クリストバライト

石英

トリポリ

鱗珪石

非結晶性シリカ

熱式乾燥非結晶性シリカ

シリカゲルを含む沈降シリカ

珪藻土(未焼成)

硝酸塩シリカ、石英ガラス、溶融シリカ

融剤添加焼成珪藻土

 

ポイント

珪藻土(未焼成)、融剤添加焼成珪藻土とも非結晶性シリカに分類されています。

珪藻土は不純物が含まれるため、不純物を取り除く場合には焼成を行います。

建材に使われる珪藻土は白色に近づけるため焼いたものもあれば、焼いていないものもあります。

※珪藻土は未焼成のものは濃いベージュをしているため、焼くことで不純物を取り除き白色に近づけることがあります。

珪藻土は焼いていようが焼いていまいが、分類は非結晶性シリカとなるようです。

 

非結晶性シリカは発がん性物質に分類できない

210ページ

5.5 Evaluationl

There is sufficient evidence in humans for the carcinogenicity of inhaled crystalline silica in the form of quartz or cristobalite from occupational sources

There is inadequate evidence in humans for the carcinogenicity of amorphous silica.

There is suffcient evidence in experimental animaIs for the carcinogenicity of quartz and cristobalite.

There is limited evidence in experimental animals for the carcinogenicity of tridymite.

There is inadequate evidence in experimental animaIs for the carcinogenicity of uncalcined diatomaceous earth.

There is inadequate evidence in experimental animaIs for the carcinogenicity of synthetic amorphous silica.

Overall evaluation

ln making the overalI evaluation, the Working Group noted that carcinogenicity in humans was not detected in all industrial circumstances studied. Carcinogenicity may be dependent on inherent characteristics of the crystalline silica or on external factors affecting its biological activity or distribution of its polymorphs.

Crystalline silica inhaled in the form of quartz or cristobalite from occupational sources is carcinogenic to humans (Group 1).

Amorphous silica is not classifiable as to ils carcinogenicity to humans (Group 3).

5.5評価

職場における石英またはクリストバライトの吸入による、結晶性シリカの発がん性について十分な証拠がある

非結晶性シリカの発がん性について十分な証拠はない

石英とクリストバライトの発癌性についての実験動物には十分な証拠がある

トリジマイトの発がん性についての実験動物では、限られた証拠がある。

未焼成珪藻土の発がん性についての実験動物においては、十分な証拠はない。

合成非晶質シリカの発癌性についての実験動物には、十分な証拠はない。

総合評価

ワーキンググループは、総合評価を行うにあたり、研究されたすべての産業環境においてヒトの発がん性は検出されないと指摘した。

発がん性は、結晶性シリカの固有の特性や、生物学的活性に影響を与える外形要因、多形の分布に依存し得る。

職場における石英またはクリストバライトの吸入においては、結晶性シリカは発がん性がある(グループ1)

非結晶性シリカは、発がん性について分類できない(グループ3)

 

ポイント

結晶性シリカには発がん性がある(グループ1に分類)が、非結晶性シリカに発がん性があるとは言えない(グループ3に分類)。

グループ3は発がん性があるかどうかはわからないグループであり、それだけ見るとちょっと心配になります。

しかし、グループ3には水道水やコーヒーも含まれます。また、発がん性がないとされるグループ4に分類される物質は1つのみ(カプロラクタム)であるため、それほど不安視する必要はないと思います。

 

まとめ

インターネットで珪藻土には発がん性があると記載されていたため、根拠となっていた国際がん研究機関(IARC)の文書を読んでみました。

結果として、下記2点が分かりました。

  1. 珪藻土は非結晶性シリカに分類される
  2. 非結晶性シリカは発がん性があるとは言えない

そのため、珪藻土に発がん性があるという証拠はなく、とりあえず心配する必要はないという結論になりました。

 

 

 

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